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ウィリアム・サローヤン

新訳「僕の名はアラム」を読んでから、ウィリアム・サローヤンにはまっています。村上春樹柴田元幸が選ぶ復刊ないし新訳文庫シリーズである村上柴田翻訳堂の一冊。

 

小田扉の漫画 「団地ともお」の世界観に近いっていうか、深い哀しみや絶望が背景にあるんだけど、重くない。シンプルにあっさり書き上げている感じ。

サローヤンの他の代表作「ヒューマン・コメディ」ではもっとストレートに作者の心情が語られています。平和への願い、様々な人種、個性の尊重、日々の生活の葛藤といったこと。「ディア・ベイビー」など他の短編集も読んでいくと、主人公が餓死したり、救いようのないまま終わってしまう話もいくつかあります。

文章は正直、目の醒める名文というたぐいではないです。けれど、とてもシンプルで読みやすい。一つ一つのテーマが胸の奥深くに沈み込んでいきます。

 

 

村上春樹 / レイモンド・チャンドラー / スコット・フィッツジェラルド

村上春樹によれば、レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』は、スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』の影響下にあるという。

この2作品は大事なテーマを共有している。「損なわれた愛」。かつて愛した理想の恋人。彼、彼女の美点が損なわれ、あまつさえ、ろくでもない相手と一緒になっている。それでも過去の美しかった何かを確かめたい。取り戻したい。

このテーマは村上春樹騎士団長殺し』にも引き継がれている。そもそも『ノルウェイの森』における主人公と永沢の関係性はジェイ・ギャツビーと語り手ニック・キャラウェイをなぞっていたし、『ダンス・ダンス・ダンス』は『ロング・グッドバイ』へのオマージュを含んでいる。

 『騎士団長殺し』については多くの人が多くのことを語るだろうけれど、今、私が興味あるのは上記のような関連性、オマージュの連鎖。書物上での人類の進化、遺産の継承みたいだ。