日々のこと

精神科医のおもに読書日記

ウィリアム・サローヤン

新訳「僕の名はアラム」を読んでから、ウィリアム・サローヤンにはまっています。村上春樹柴田元幸が選ぶ復刊ないし新訳文庫シリーズである村上柴田翻訳堂の一冊。

 

小田扉の漫画 「団地ともお」の世界観に近いっていうか、深い哀しみや絶望が背景にあるんだけど、重くない。シンプルにあっさり書き上げている感じ。

サローヤンの他の代表作「ヒューマン・コメディ」ではもっとストレートに作者の心情が語られています。平和への願い、様々な人種、個性の尊重、日々の生活の葛藤といったこと。「ディア・ベイビー」など他の短編集も読んでいくと、主人公が餓死したり、救いようのないまま終わってしまう話もいくつかあります。

文章は正直、目の醒める名文というたぐいではないです。けれど、とてもシンプルで読みやすい。一つ一つのテーマが胸の奥深くに沈み込んでいきます。